『寸胴鍋の秘密』
Top | RSS | Admin
スポンサーサイト
--年--月--日 (--) --:-- * 編集
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンプライアンス面談
2007年06月10日 (日) 22:32 * 編集
その面談は、コンプライアンス意識や不祥事に対する意見、NHKの現状などを全職員から聞き取ることが主旨らしい。

職員によるわいせつ事件が相次ぐNHKでは8日、橋本元一会長名で「これまでのNHKの信頼回復への取り組みを台無しにするだけでなく、NHKの放送そのものに対する信頼を大きく失墜させるものだと深刻に受け止めています。度重なる不祥事に、視聴者のみなさまには深く深くおわび申し上げます」とコメントを発表した。また、緊急対策として管理職を含む約1万1000人の全職員を対象に面談を実施するほか、懲戒処分の強化見直しを検討することも明らかにした。
NHK職員が強制わいせつや児童買春などの容疑で逮捕された事件は、今月だけで3件目。8日逮捕された今井洋介容疑者は00年に入局。「真剣10代しゃべり場」「一期一会キミにききたい!」などの若者向け番組を担当していた。勤務態度はまじめだったという。
会見した畠山博治理事は「コンプライアンス(法令順守)の意識が浸透していなかった。気のゆるみや慢心があったと思う」と謝罪。不祥事が相次ぐ原因については「今の段階ではわからない」と話した。全職員に対する面談では、コンプライアンス意識や不祥事に対する意見、NHKの現状などについて聞き取り、来週末までに役員に報告させる。(asahi.com)

2007年6月10日。
ここは、渋谷区にあるNHK放送センターの608会議室。
「俺は、20名と面談か。一日4名やっつけても、5日もかかってしまう。このクソ忙しい時期になんてこった。」
第三編成局の局長、横田はつぶやいた。

畠山博治理事名の緊急メールが入ったのは、前週の金曜日、8日の午後だった。
メールは、次のようなものだった。

<コンプライアンス徹底のための面談の実施について>

主題の件、NHKでは、昨年9月に「コンプライアンス委員会」を設置し、コンプライアンスの徹底を図ってきたが、最近、職員の不祥事が多発していることから、次の要領にて、全職員との面談を実施することになった。期日までに添付シートに必要事項を記入の上、コンプライアンス委員会あて提出のこと。

1.狙い  部下との面談を通じて、コンプライアンスの意識を浸透させる

2.面談対象  管理職を含む職員全員(但し、契約社員等は含めず)

3.面談要領  上長は、コンプライアンスの徹底を図るほか、不祥事に対する意見やNHKの現状などについて職員から聞き取ること

4.報告帳票 添付シートに概要を取り纏め、次週15日(金)までにコンプライアンス委員会あてに提出のこと。

理事 畠山博治


このメールを受け、横田は、部下20名全員に面談時間をメールで発信し、土日で面談のシナリオを自分なりに纏めた。

そして、月曜日、午前10時。
最初の面談は、入社5年目の田中主任だった。

「田中クンも、ご存知の通り、最近、NHKでは、社員の不祥事が続いて起きている。受信料を支払わぬ人たちに告発するぞと脅かしつつ、なんとか、信頼が回復しつつあるところだったので、まったく残念なことだ。今回の面談は、管理職を含めた全職員に対し、上司が面談を通じてコンプライアンスについて改めて徹底するのが、主旨だ。」

「分かりました。」

「じゃ、面談を始めるか。まず、最近起こった三つの事例を振り返ってみたい。まず、5月8日の乳揉み男、いや、アナウンサーの高橋徹クンが、路上で女性に抱きつき、強制わいせつの現行犯で逮捕された事件だ。抱きついたと報道されたが、実際は、胸や下腹部をいじっている。ヤツは、酒に酔っていて「よく覚えていない」と言っている。この事件について、どう思う。」

「どうしょうもない男だと思います。人の喜びや悲しみをマイクを通じて冷静に伝えるべき人物が、自身の気持ちを暴力で伝えるなんて、卑劣だと思います。」

「うむ。俺はヤツとはある番組からの知り合いでね、最近は、朝の番組の中継レポーターをしていて、朝がキツイと言っていた。結構、疲れがたまっていたのではないだろうか。」

「そんなの、理由になりません。」

「そうだな。次の事件は、頬ずり男、いや、ディレクターの山口智也クンが、電車内で、隣に立っていた女性会社員の顔にほおずりをした事件だ。彼は、「酒に酔っていて気が付かなかった。迷惑をかけたなら申し訳ない」と言っている。この事件について、どう思う。」

「まったくお恥ずかしい事件です。犯行は、夜でしたから、うっすら髭が生えていたと思います。そんな男にスリスリされたのですから、女性の気持ちを想像すると、絶望的になります。」

「ヤツのことも知っているが、ここんところ、大きな制作モノの締め切りが近づいていたので、相当、疲労困憊していた。疲れているとちょっとのお酒で泥酔してしまう。」

「そんなん、飲まなきゃいいのです。」

「うーん。まあな。ところで、三つ目の事件は、尻揉み男、いや、子会社のディレクターの今井洋介クンが、電車内で、女子高生のスカートの下から下着の中に左手を入れて尻を触った事件だ。これも大胆な犯行だった。彼は、「女子高生を見かけて欲情してしまった」と吐露している。なんとも正直な男だ。この事件について、どう思う。」

「一言もありません。電車の中で、女子高校生の下着の中に手を入れるなんて、信じられません。」

「彼の場合、最近、子会社に出向となって、教育番組を担当していた。その前は、サラリーマンネオのスタッフだったから、ちょっと戸惑いがあったのかもしれない。」

「どういうことですか。そんなギャップは、自分で上手に解決しなくてはだめでしょう。」

「…。」

「局長、どうしたのですか。」

「おめー、言わせておけば、言いたいこと言いやがって、どの職員も、疲れきって、目一杯、精一杯のところで働いているんだ。」

「そんな、急に語気荒げて、どうしたんスか。」

「おめーのような、入社5年目の若造に何が分かるって言うんだ!!」

「局長…。面談はこの辺で…、よろしいですか。」

「…。」

「失礼します。」


横田局長のコンプライアンス面談、一人目が終わったばかりだ。



banner_02.gif
Comment

・コメントを投稿する
URL
Comment
Pass
Secret 管理者にだけ表示を許可する
 

Trackback
この記事のトラックバックURL
http://bunn.blog9.fc2.com/tb.php/748-af2d251d
・この記事へのトラックバック
* Top *