『寸胴鍋の秘密』
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29歳の尊厳
2006年09月26日 (火) 22:45 * 編集
法律的には正しい解釈なのだろうが、被害者の心理からすると、釈然としない判決だ。

1978年に殺害された東京都足立区立小学校の教諭石川千佳子さん=当時(29)=の母と弟2人が、2004年に自首したものの公訴時効で不起訴となった元同校警備員の男(70)と区を相手に、約1億8600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁の永野厚郎裁判長は26日、殺人について、不法行為から20年で請求権が消滅する民法の除斥期間を適用、請求を棄却した。
 その上で、遺体を26年間自宅の床下に隠したことに対し、「遺族が故人を弔う機会を奪い、敬愛や追慕の念を著しく侵害した」と述べ、男に330万円の支払いを命じた。区に対する請求は棄却した。遺族側は控訴する方針。(時事通信)

26年前だから、犯行時、警備員の男は、44歳。
しかし、彼女は殺された当時の29歳のままだ。
時は止まったままである。

先日、この元警備員がテレビに映し出された。
犬を散歩していた彼にインタビューをしようとする取材者に対し、元警備員の男は、手に持った傘のようなものを大きくかざし、取材者を威嚇し、遠ざけていた。

この男は、陳述書を書いている。
その中で、殺害の経過を次のように記している。朝日新聞からの引用。


78年8月14日夕。校舎の巡回中、1階給食室前の廊下で、プール当番の日直だった石川さんとぶつかりそうになった。
「こんなところで何をしているのだ」と近寄ると、バッグの様な物で私の顔を殴ってきた。払うとひっくり返り、大声をあげた。
こういう状況を作る目的で罠をかけてきたのではないか。処分されてたまるかと強い怒りが生じ、夢中で両手で首を押さえた。

さらに、遺体を自宅の床下に埋めた後のことについて、次のように書いている。

遺体を埋めた和室の畳の上はよけて通るようにしたが、妻と一緒の時は不自然にならないように平静を装った。
催眠術の本を買い、自己暗示をかけた。「お前は何もしてない。恐れることはない」。
目を閉じて繰り返し、歳月がたつうちに事件をあまり思い出さなくなった。

この男は高校卒業後、刑務官やタクシー運転手など職を転々したあと、37歳で区立小の警備員に採用された。その生活については、次のように書く。

弁当に睡眠薬を入れられ、有毒ガスをまかれるなど、小学校で教員たちから嫌がらせを受けた。

現実離れし、まったく理屈に合わない話ばかりだ。
無理やり29年の人生を総括された上に、さらに、こんな理不尽なことを言いたい放題言われる。
死人に口なしである。
彼女は殺された29歳のまま、なにも反論できない。

今回、「石川さんの遺骨を26年余り隠匿し続け、遺族の追慕の念を侵害した」ことで損害賠償額330万円の判決が出たわけだが、石川千佳子さんの人生の尊厳に対する賠償はないのか。
あまりに酷だ。



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