『寸胴鍋の秘密』
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真の原因
2005年11月27日 (日) 19:00 * 編集
耐震データ偽造問題について、自民党の武部勤幹事長は、26日、「悪者捜しに終始するとマンション業界がつぶれる。不動産業界もまいってくる。景気がおかしくなるほどの大きな問題だ」と述べた。
今後の対応にこそ軸足を置くべきとの主旨だと思うが、一方、悪者捜しをしないと真の原因が分からず、効果的な対策が打てないのも事実である。

対策といえば、問題のマンションやそこに住まわれている方々の対応をどうするかと共に、設計から建築確認のステップそのものをどうしていくべきかの議論も活発になってきた。

以前にも書いたが、マンションの企画から建設、販売は次のステップを踏む。
開発会社の建設企画 ⇒ 設計事務所による構造計算も含む設計 ⇒ 検査機関による審査 ⇒ 建設着工・完工 ⇒ 開発会社による販売へ

今回の耐震データ偽造問題の原因は、大きく次の二つとされる。
構造計算の段階で耐震データを偽造したことと検査機関による審査が機能していなかったことだ。
設計段階における問題については、建築士免許の更新制導入が対策となっているようだ。


耐震強度偽造問題で浮き彫りになった建築士のモラル低下や自治体、民間検査機関の建築確認体制のずさんさを受け国土交通省は建築士免許の更新制導入も視野に入れ、建築士法の改正など抜本的な見直しに着手する方針を固めた。(略)必要であれば、次期通常国会に改正案を提出する。
建築士の更新制が導入されれば、更新に合わせ建築士の倫理や最新の知識を身に付けているかなどをチェックできるようになる。(略)
建築士の制度では、日本建築家協会が「建築士は適性がなくても続けられる。違反を起こしても行政処分もほとんどないのが倫理観を持たない建築士が生まれる原因だ」と指摘するなど見直しの機運が高まっている。(中日新聞)

一方、検査機関については、民間検査機関への立ち入り検査の強化が対応策として検討されている。

マンションなどの耐震強度に関する構造計算書の偽造を見過ごした民間検査機関イーホームズ(東京都新宿区)に、国土交通省がほぼ毎年、定期的に立ち入り検査をしながら、同社の審査態勢の不備を指摘してこなかったことが明らかになった。帳簿の保管状況や検査員数の点検が中心で、建築確認の審査方法の中身は詳しく調べていなかった。こうした事態を受け、国交省は、民間検査機関への検査のあり方を見直す。(略)
国交省によると、民間検査機関への立ち入り検査は建築基準法に基づき、年1回程度で、「建築基準適合判定資格者」の資格を持った1級建築士の数や確認書類の保存状況、利害関係のある業者への検査の有無など、事務上の不備に関する点検が中心。構造計算書を個別に再計算することはなかった。
イーホームズに対しては、ほぼ毎年度末に実施。10月24日には抜き打ちの検査もしたが、書類の保管の不備について改善を指導しただけで、構造計算書の審査状況は調べなかった。今回の偽造問題発覚後に立ち入り検査をするまで、審査手続きの違反には気づかなかったという。(略)
国交省は偽造見過ごしの再発防止策として、立ち入り検査の強化を検討。構造計算書など重要書類の一部を抽出して詳しく点検するなどの案が浮上している。(asahi.com)

しかし、民間検査機関だけが問題ではない。というのは、官による見逃しもあるからだ。

千葉県の姉歯建築設計事務所がマンションなどの構造計算書を偽造した問題で、民間の確認検査機関だけでなく自治体が偽造を見逃していたケースが相次いで判明している。行政側は「申し訳ない」と頭を下げる一方で、「限られた人数ですべてチェックするのは無理」との釈明も。建築確認のあり方について根本的な見直しを求める声が強まっている。
東京都台東区は25日、同区内にある未着工のマンション、「エクセリア浅草田原町」(仮称)で、姉歯事務所による構造計算書の偽造があったと発表した。7月6日に区が建築確認済証を交付したばかりだった。(nikkei net)

こんなことから、欠陥建築物の被害者に対する補償も対応策として検討されている。

国交省は審査ミスを完全になくすのは困難とみており、建築確認の審査をすり抜けた欠陥建築物の被害者に対する補償の実効性確保が今後の検討課題だとしている。
建物に欠陥があった場合に補償金が支払われる保険の売り主への加入義務などを軸に検討する。国交省幹部は「これまでの建築確認制度は性善説で運用してきた。今後は性悪説で制度全体を考える必要がある」と話している。(asahi.com)

まとめてみると、現在、検討されているのは、建築士免許の更新制導入、立ち入り検査の強化、欠陥建築物の被害者に対する補償といった方策である。

これらの施策を講じることで欠陥建設物はなくなるかというと、なくなりはしない。
なぜなら、建築士免許の更新制導入により建築士の資質の見極めやスキルの把握などはできようが、第二の姉歯を阻止する絶対的な手立てとはなりえない。違反を起こした場合、免許剥奪といった厳しい処分を並行して導入すべきであろう。
また、検査機関に対する立ち入り検査を強化しても、全数チェックはとうていできない。民間検査機関は全国に122もあり、建築確認の総数は年間約75万件というからだ。
今、検討されている方策の導入により、耐震対策が十分施されていない建物の数は少なくはなるだろうが、残念ながら今後も網をくぐるようにして建て続けられるだろう。
そのための救済として欠陥建築物の被害者に対する補償制度を導入しようというシナリオだ。
欠陥建設物そのものは、今後もなくならないのだ。なお、今回は焦点の外にあるが、従来、工事の手抜きによる欠陥建設物が問題視されてきた。この面での対策は十分なのであろうか。

さて、冒頭、今回の耐震データ偽造問題の原因は、大きく次の二つだろうとした。
構造計算の段階で耐震データを偽造したことと検査機関による審査が機能していなかったことだ。
しかし、そもそも論で考えると、今回の真の原因は、コストパフォーマンスが高い物件の販売を使命としてきた開発会社が鋼材をはじめとする材料値上げの中で、その本来の使命を見誤ってしまったことではないかと思う。
コストパフォーマンスはイコール、低コストの意味ではない。必要な機能、質を満たした上で低コストであることがコストパフォーマンスが高いということである。
ヒューザーは、そこをはき違えた。
小嶋進社長は、声明文で「良い物を安く供給するという事は正しい競争の方向性であり、どうやって良い物を安く造るかで民間企業はしのぎを削っているのであり、それができない企業は淘汰される」としている。百歩譲って社長の使命感はブレていなかったとしても、末端の営業所レベルでは単に安ければ良いということになってしまい、姉歯設計事務所を脅かすようにして、コストを下げていた。
小嶋社長は、「姉歯事務所を使うように指示したのは、現場レベルで決めていたようだ。私は知らなかった」とも言っているが、末端をコントロールできなかった意味合いで責任から逃れることはできない。
そして、使命を見誤った会社はいつか崩壊する。

いずれにしても、今後、建築士免許の更新制導入、立ち入り検査の強化、補償金が支払われる保険の売り主への加入義務などにより、マンションの販売価格は上昇に転じ、工期もかなり長くなるだろう。
これから購入を考えている人にとっては悪い話ばかりであるが、実は必要な機能や質を満たすためには、それが真っ当なことなのである。



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Comment
・同感です
低コストの話、全く同感です。
コスト削減≒手抜き&下請け叩きと考えている人が世の中多すぎます。
真っ当なことを会社で言うと、白眼視されちゃったし…。
別の投稿にも同じTB打っちゃいました。すいません。
2005/11/29(火) 15:50:49 * URL * ちゃめ #-[編集]

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2005/11/27(日) 21:41:28 * zaraの当方見聞録
あさましきもの “武部氏の発言について。”「悪者捜しに終始すると、マンション業界は、ばたばたとつぶれる。  不動産業界も参る。景気がこれでおかしくなるほどの大きい問題だ」● “悪者捜しに終始するな”ということは、原因究明するなともとれる。● “マンション
2005/11/27(日) 21:58:29 * うぞきあ の場
ちょっと口が滑りすぎたようですね。自民党の武部勤幹事長が、11月26日に北海道釧路市で講演し、耐震強度偽装問題について言及しました。その際に「悪者探しに終始すると、マンション業界つぶれますよ、ばたばたと。不動産業界も参ってきますよ。景気がこれでおかしくなる..
2005/11/28(月) 17:45:20 * Y's WebSite : Blog ~日々是好日~
自民党の武部幹事長が国費で「全てのマンションの安全検査を全棟行うべきだ」と発言したらしい。検査は必要だがBSEのときとは違って、今回の「倒壊マンション」の悪質詐欺行為は誰に責任があるのか明白だ!不動産、建設会社および関連業界は検査費用を負担するのが「筋」
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